視聴覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画

 

 この「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(読書バリアフリー基本計画)は、2019年に議員立法により成立した「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)第7条に基づき、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文部科学大臣及び厚生労働大臣が策定し、2020年7月に公表されました。

 読書バリアフリー法は、「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与すること」(第1条)を目的としています。その目的を実現するために、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画を定めなければならないとしています(第7条)。 

 この法の対象は、視覚障害者等としていますが、視覚の障害のほかにも、読字が困難な発達障害、腕や手の障害により本を持てない、ページをめくれない障害も対象にしています。

 読書環境の整備には、視覚障害者等が読みやすい、理解しやすい書籍(アクセシブルな書籍)も含まれています。点字図書以外にも、文字が大きい拡大図書、音声を聞く音訳図書、触る絵本、分かりやすい表現や読みやすい形のLLブック、布の絵本等があります。それぞれ障害に合わせて読みやすいものになっています。さらに、コンピュータ等を利用する電子書籍等(アクセシブルな電子書籍等)もあります。音声読み上げの機能をもつ電子書籍、音声だけのDAISY(Digital Accessible Information System)にテキストや画像を同期させる

マルチメディアDAISY等があります。

 学校図書館は、利用しやすい施設・設備等の整備、公共図書館等とも協力してアクセシブルな書籍等の充実を図る必要があります。そのためには、司書教諭・学校司書の配置の重要性を周知すると共に、司書教諭・学級担任・通級の担当者・特別支援教育コーディネーター等の教員間の連携の重要性についても広く周知し、支援体制の整備を図る必要もあります。

 今後は、学校教育においてアクセシブルな書籍の利用の活性化が求められますが、そのためには司書教諭、学校司書を対象にそれらの利用できるスキルの習得、資質の向上を図ることも重要になります。

 この基本計画に基づく各種の取組を推進するためには、地方公共団体、関係機関、当事者の理解が必要であり、国は周知を図り、必要な財源を確保し、全ての国民が文字・活字文化の恵沢を享受でき、真の共生社会が実現できることが期待されるとしています。

 

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